ブラジル人採用に強い在留資格とは?企業が知っておくべきメリットと注意点
外国人採用を検討する企業にとって、在留資格は大きなテーマです。
実は、ブラジル人は他国籍の外国人と大きく異なる在留資格構成を持っています。
特にベトナムやフィリピン出身者が「特定技能」や「技能実習」での滞在が多いのに対し、ブラジル人は就労制限のない「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」が多数を占めるという特徴があります。
この点は、企業にとって「ビザ手続きの負担が少なく、労務管理がしやすい」という大きなメリットにつながります。
本記事では、最新統計をもとにブラジル人雇用の実態と、企業が採用時に知っておくべきポイントを解説します。
最新統計に見るブラジル人の在留資格
出入国在留管理庁の公表によれば、
令和6年(2024年)6月末時点のブラジル人の在留外国人数は212,325人です。
内訳は以下のとおりです(出典:出入国在留管理庁「在留外国人数(令和6年6月末)」)。
- 永住者:116,014人
- 定住者:61,203人
- 日本人の配偶者等:29,245人
- 特定技能:14人
このデータから分かるように、ブラジル人は特定技能在留者がわずか14人と極端に少なく、
圧倒的に身分に基づく在留資格(永住者や定住者等)を持つ人が多いのです。
他国籍との違い
ベトナムやフィリピンでは、特定技能や技能実習が主要な在留資格となっています。
そのため、在留資格の更新や雇用条件との整合性を常に意識する必要があります。
一方、ブラジル人は永住者や定住者が中心です。
これらの在留資格は「身分に基づく在留資格」と呼ばれ、在留資格による就労制限がありません。
このため、雇用主は煩雑なビザ管理や資格外活動のリスクを心配する必要が少なく、長期的な雇用を前提とした人材活用がしやすいのです。
ブラジル人採用のメリット
1. 在留資格面での安定性
- 永住者や定住者は更新拒否のリスクが低く、長期雇用が可能
- 就労制限がないため、業種や職種を問わず採用できる
- 企業側でビザ取得や更新をサポートする負担がほとんどない
2. 労務管理がしやすい
- 特定技能や技能実習のように、在留資格の範囲に沿った業務管理をする必要がない
- 不法就労のリスクが極めて低い
- 採用後は日本人従業員と同じ感覚で労務管理できる
3. 職場適応力と文化理解
- 日系ブラジル人が多く、日本語を話せるケースも多い
- 日本文化や生活習慣への理解度が高く、定着率が高い傾向
- 異文化背景による柔軟性やチームワーク意識の高さが強み
雇用契約時の注意点
もちろん、在留資格が安定しているからといって契約面をおろそかにしてはいけません。
雇用契約書には以下を必ず明記しましょう。
- 職務内容
- 勤務地
- 賃金(基本給・手当・支払方法)
- 労働時間・休暇
- 解雇条件
- 社会保険や雇用保険の加入状況
また、コミュニケーションの取り方や宗教・文化的背景への配慮も重要です。
ブラジル人はオープンなコミュニケーションを好む傾向があるため、柔軟な職場環境を整えることで定着率をさらに高めることができます。
ケーススタディ:ブラジル人雇用の現場
- 製造業:永住者や定住者資格を持つ人材が多く、更新に左右されないため、長期的に技能を積み上げる人材として活躍
- サービス業:日本語が堪能な人材も多く、多言語対応や異文化理解が必要な場面で即戦力
- 中小企業:ビザサポートにかかるコストや手間を抑えながら外国人採用を実現可能
まとめ
「ブラジル人 採用 在留資格」を考えるうえで最も重要なポイントは、
他国籍で多い特定技能や技能実習ではなく、就労制限のない身分に基づく在留資格が中心であることです。
この特徴により、企業はビザ管理の手間や更新リスクを大幅に減らし、安定した人材を長期的に雇用することができます。
加えて、日本文化への理解度や言語能力を兼ね備えた人材も多く、採用のメリットは非常に大きいといえるでしょう。
人手不足に悩む企業にとって、ブラジル人採用は労務管理が容易で安定性の高い、実務的に有効な選択肢です。

